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代理店合併Q&A


■合併形態・方法
合併とM&Aの違いは何ですか?
一般的な企業のM&Aは自社株の売買によって行われています。一方、保険代理店の場合には過去の事例からすると、多くは営業権譲渡方式(保有契約の移管)といった手続きで行われています。この方式もM&Aの1形態ですが、資産評価方法などは一般企業に比べてかなり簡便な方法となっています。
営業権譲渡の場合、譲渡金は発生しますか?
無償譲渡以外での営業権譲渡では、譲渡する代理店は廃業し、また従業員の移籍もないような場合には、営業権を評価し、譲渡金(のれん代)が発生します。一方、営業権譲渡する場合で、社員もすべて引き受ける場合では、譲渡金を評価しないケースが多いようです。
M&A(有償譲渡)の場合、その価額は一般的にどの程度でしょうか?
保険代理店のM&Aは多くが「営業権譲渡」、つまり保有契約の移管です。保有契約の中身にもよりますが、一般的には、前年の手数料の1年分(除く長期一括契約、自賠責)が相場といわれますが、ケースバイケースです。移管後には、継続落ちや解約も発生しますので、このあたりにも留意が必要です。
合併の方式にはどのような形態がありますか?
会社法上の合併の形態には、吸収合併か新設合併の2形態のみとなります。良く対等合併という「言葉」がつかわれることがありますが、対等合併は会社法上の合併形態ではありません。あくまで、双方の融合をスタートから図りたいという観点でスムーズな合併実務を進めるうえでの「言葉」として使われています。
対等合併という言葉をよく聞きますが具体的にはどのようなものですか?
対等合併は会社法上の合併ではなく、精神論的なものです。双方の株式評価を行う際に1対1の交換比率にする際には対等合併といわれることはありますが、保険代理店の場合には存続代理店に被継承代理店の契約を移転(人材も含めて)することが多いため、「対等合併」の言葉だけが先行した合併検討は注意が必要です。
実質的には両社対等を視野に新設合併を考えています。
新会社設立後の運営において注意すべき点は何ですか?
会社法上では対等合併はありませんが、文字通り、対等合併を検討する場合には、「新設合併」を採用し、新しく会社を設立し、同額出資することで実質的な対等合併は可能となります。ただし、経営の意思決定への影響も大きいので、同額出資については慎重に検討する必要があります。
吸収合併の場合、吸収する代理店の社員や負債はすべて引き継ぐことになりますか?
必ずしも、全てを引き継ぐ義務はありません。引継く資産や条件などは合併協議の中で決定します。決定した内容は、後日のトラブルを防止するためにも、「合併合意書」等に明文化することをお勧めします。
合併に伴い、保有契約と営業社員と事務社員を引き継ぎますが、引き継ぐ際の重要な資産は何でしょか?
継承代理店においては被継承代理店からどのような資産を引き継ぐかは、協議の重要なテーマとなります。保険代理店の場合、契約内容だけでなく、契約者の属性や過去のコンタクト履歴(事故対応・各種相談他)も重要です。また、保険代理店では、「人材」が最大の資産となります。営業社員・事務社員の経験やスキルも大切な知的資産となります。
どのような場合に、新設合併を選択するケースが多いですか?
実質的な対等合併を目指すことを目的とするケースもありますが、合併各社の財務上の問題(債務等)がある場合には、新設合併を選択するケースは多いようです。
どのような場合に、営業権譲渡を選択するケースが多いですか?
営業権譲渡方式と比べて法的な合併の場合には、一般的に各代理店の手間と時間を要すことが多いため、譲渡側の代理店の株主の理解が得られる場合には、営業権譲渡方式を選択するケースが多いようです。
営業権譲渡方式の場合、譲渡側の代理店の社員の移籍や処遇面で不利となることはありますか?
営業権譲渡方式の場合、譲渡側の社員の受け入れや処遇を保障する義務はありません。一方、保険代理店の営業権は、人についてくる傾向が強いこともあり、従業員の受け入れや処遇の確保は、合併成功に向けた重要な協議テーマとなります。
吸収合併される場合、現在の法人はどのようにすればよいですか?
一般的には、「清算・解散」あるいは「存続(休眠)」することになります。精算・解散では債務の整理なども必要となります。また休眠しても法人住民税の支払いなども必要となる場合もあるため、事前に税理士や行政書士に相談・確認してください。
新設合併と吸収合併のメリットとデメリットは何ですか?
会社法上の新設合併は双方の資産を査定して新会社に引き継ぐこと、吸収合併は主には保有契約の移管手続きと社員の移籍(雇用の解除と新規締結)となります。手続き的には吸収合併の方が簡単ですが、新会社を設立した再スタートの場合は第二創業的なイメージで船出ができます。
有限会社で合併は可能ですか?
商法改正(2006年)により新たな有限会社の設立は出来なくなりました。現在の有限会社は「特例有限会社」となります。営業権譲渡方式でなく、法的合併を選択する場合には、株式会社への転換が必要になります。
■専属・乗合
現在当社は専属ですが先方は損保・生保乗り合いです。合併は可能でしょうか?
合併は本来両当事者の意思で決定できるため、基本的には専属代理店と乗合代理店が合併することはできます。ただし、双方の所属する保険会社が各々保有している契約を移転する手続きが必要ですので、代理店としての組織の合併=契約の統合にはなりません。専属代理店から乗合代理店となるためには、保険会社との協議が必要となります。
合併により、専属から乗合となる場合の留意点にはどのようなものがありますか?(生保含む)
専属代理店が乗合代理店になる場合には体制整備面の劣化がないこと、シナジー効果があること、お客さまのためにサービス強化となることなどが判断のポイントとなります。また、乗合代理店では、体制整備の比較・推奨販売のルール化と教育が必須となります。また、多くの保険会社(損保)では、代理店手数料で「専属」を評価する体系も多く見られますので、乗合によりポイントが低下する可能性がある点についても留意が必要となります。
合併により乗合代理店となった場合、体制整備上、どのような点に留意する必要がありますか?
(その1)
専属代理店が乗合代理店になる場合、比較説明・推奨販売に関して正しくお客さまへ説明できる体制を整備する必要があります。(以下の対応は必須です)
・自店の推奨方針(推奨販売の場合)
・お客さまに説明すべき「代理店独自の推奨理由・基準」を記載したトークスクリプト等
・推奨販売、比較説明に用いる募集文書
・比較説明・推奨方針に関する募集人教育体制 
合併により乗合代理店となった場合、体制整備上、どのような点に留意する必要がありますか?
(その2)
経営理念や行動指針の見直しが必要になるケースがあります。
お客さま、社員、地域社会等に対する新会社の存在価値を明確にし、共有する必要があります。
合併により乗合代理店となった場合、体制整備上、どのような点に留意する必要がありますか?
(その3)
最も重要なポイントは、比較説明・推奨販売に関する体制整備となります。
この場合、単に既定の内容だけでなく、例えば、人事制度で評価制度を導入している場合には、お客様本位で推奨方針や比較説明を実施することに関する募集人の人事評価(行動評価)の内容なども見直す必要があります。
■その他
合併の失敗に関してはどのような要因が多いですか?
合併の目的を「規模の拡大・手数料ポイントアップ」に置き、合併後の代理店として何を目指すのか(経営理念・ビジョンや戦略)が不明確で、お客さま、従業員、地域へのかかわり方や役職員の処遇等をしっかり協議・合意していないケースや、それらの問題を先送りにするケースでは、実態として、個社が同じ屋根の下にいるだけであり、結果、合併シナジーも得られずに失敗しているケースが多く見受けられます。
代理店のM&A情報はどのようにしたら入手できるのですか?
企業のM&Aに関する情報は今やネットでも入手できる時代です。ストライク社、日本M&A社などの民間事業者のほか、都銀・地銀・信用金庫などの金融機関、全国設置されている事業承継支援センターなどが運営しています。
但し、保険代理業に関しての売却案件は極めて少なく、あっても乗合系生保会社が中心です。
合併の成功事例よりも失敗事例も知りたいのですが、参考とすべきケースはありますか?
「戦略的代理店合併ガイド」には失敗ケースも掲載しています。合併後の分裂は誰しも望んではいない結果ですが、特に働く社員の環境変化やお客さまのサポート体制の再変更など多岐にわたるデメリットが発生します。
合併が成功したケースとの比較では、合併の目的の共有度合いや、実現に向けた本気度の強さが分かれ道になっています。
合併の目的や理由で傾向はありますか?
代理店を取り巻く環境は大きく変化しており、求められる品質や体制を構築するためには、一定の規模も必要となります。また、代理店主の高齢化も進んでいることから、「お客さまへの対応力向上」「規模の拡大による収益基盤の強化」や「後継者対策」も合併の目的として大きなウェイトを占めています。

■心構え/スケジュール/テーマ
合併前に必ず考えなくてはいけないことはなんですか?
第一に「何のために合併をするのか」あるいは「誰のために合併をするのか」を合併双方の経営者である店主がしっかり腹に落とすことです。マーケット戦略を描くうえでは保険会社の責任者を交えての協議も重要ですが、代理店の規模拡大に絞った合併は将来への課題を抱えたままになってしまいます。
合併協議を進めるにあたって心構えのようなものはありますか?
合併協議では、協議すべき事項は多岐にわたり、また協議の中で利害が対立することもあります。そのため、合併協議では、次の5点を心構えとして持ち、誠実に対応するようにしてください。
❶密な進捗管理・確認、❷メリットだけではなく、デメリットを認識、❸誰のための合併かを意識する、❹都合の悪いことほどオープンにする、❺標準ルールは「実務」レベルまで落とし込む
合併協議では協議者間で機密情報が開示・共有することがありますが、情報漏えい等が心配です。対処方法はありますか?
合併協議では、機密情報(決算、営業関連等)、雇用者情報、お客さま情報等の相互開示が必要となるため、「機密保持契約書」等を交渉開始前に取り交わしておくことが必要です。
合併を検討してから統合完了までの期間はどの程度必要と考えたらよいですか?
合併に要する期間は2社合併なのか3社以上の複数なのか、県内なのか県外を含む広域なのかなどのよって違ってきますが、一般的には7カ月から1年は必要と考えられます。契約の事務的な移転やシステムデータの統合だけであれば3カ月程度で可能でしょうが、「より良い代理店組織」つくりでは、「経営理念・ビジョン」のすり合わせや、合併後の役職員の処遇などを検討する必要があります。協議すべきテーマを明確にして、早めに合併スケジュールを立案することが肝心です。
合併スケジュールの工程雛形はありますか?
各保険会社の支援メニューでは1年のスケジュールが汎用モデルとして準備されているはずです。
日本代協代理店サポートデスクで作成した「戦略的合併ガイド(会員用)」では7カ月スケジュールモデルを掲載していますのでご参考ください。スケジュールの長短はありますが、代理店内、保険会社内で検討・分担する項目は同じです。
合併前に協議しておくべきことにはどのようなテーマがありますか?
会社法に関わるもの(存続会社、社名、役員等)は必須です。ただし、この分野は専門性や法令も多いため店主と司法書士との協議で進めます。
少なくとも、❶合併会社の理念・ビジョン、❷就業規則(勤怠ルール等)、❸人事制度(給与・評価等)、❹事業計画、などは合併前に保険会社も交えて、協議を終えておくことが成功に向けたポイントとなります。また、合併後会社でのデジタル整備についても協議しておくことが肝心です。
※実質吸収合併では、上記協議は不要となることもあります。(給与は必要)
労務や人事制度を検討する際のポイントは何ですか?
代理店合併において時間をかけて事前検討するべき課題は双方の人事・労務制度の統合です。給与や賞与体系、福利厚生など社員の生活にかかわる課題は、合併後には統一したものがないと新組織の運営のベクトルも合わず、不平不満の元ともなります。就業規則・賃金体系・仕事の評価補方法などは「働きがい」向上を視野にした検討が必要です。
合併後の支店開設を考えていますが、代理店登録の際の注意点はなんですか?
代理店登録は現在、全国一本登録が基本となっています。従来は行政区域を超えた代理店登録のためには別個登録という方法しかありませんでした。体制整備・顧客本位の業務運営が求められている中では、経営のガバナンスが聞いている(効いている)かが重要となります。法人として統一した品質基準の下で業務運営を行うことが望ましいので、別個登録で規模のみが全体評価され、品質が個別評価される形態は避けるべきです。
代理店別個登録と全国一本登録との違いはなんですか?
代理店としての管理が支店ごとになるのか、本社一括になるのかの違いです。
例えば、社員の転勤の場合で登録店をまたがる場合には、使用人廃止と届け出の手続きを行う必要があり、無用なロードを生じさせてしまいます。
保険会社の窓口は支店ごとにあった方がメリットもありますが、基本的には法人として統一的な業務運営を行う観点から、全国一本登録が基本形になると考えます。
■拠点展開
別拠点での運営となる場合の、体制整備上(内部管理態勢)のポイントは何ですか?
支店展開の際は特に業務管理責任者が配置され、日常的な業務について管理・指導を行うとともに、本店サイドは支店運営が適正に行われているかの検証を行う責任者(内部管理責任者など)の配置が必要です。また、「支店管理規程」などの規定の整備も必要となります。体制整備ルールの形骸化防止は役員の重要な管理業務のため、支店を展開する場合には、支店管理方法について十分な検討が必要です。
本店以外に支店を設置する際の距離的目安や留意点はありますか?
目的にもよりますが、どの地域にもある宅配ピザ屋さんを想定してください。注文してから30分以内に届けられる範囲を各店舗の営業エリアにしているはずです。焼きに10分といわれていますので、バイクで20分圏内にサービスを提供しています。エリアにおけるドミナント戦略を参考にして支店を配置するのも一方です。
合併と同時に支店開設を効果的に行う際の良い方法はありますか?
合併の目的が「地域のお客さまの利便性を高める」ということであれば双方のお客さまが地図上のどこにマッピングされるかの確認をお勧めします。双方の営業エリアで密度の高い場所を重点地域とするならば、そこには本社機能を配置、本店から離れた地域の顧客の濃淡ゾーンの活動をどうするのかで支店配置の必要性や場所が判断できます。
合併時に事務所スペースの都合で同居できない場合(出先)の留意点はありますか?
エリアの事務所事情にもよりますが、合併シナジーを高め、従業員の融和を早めるためには、出来るだけ同じ事務所でスタートすることが望ましい姿です。やむを得ず、支店(出先)化する場合、ルールの周知徹底、定期的な全体MTG(WEB会議の活用)を実施するとともに、支店の場合には、「支店管理規程」整備や支店管理の実効性を担保するために業務管理責任者の配置なども必要となります。
一方、BCPの観点で支店を設置する考え方もありますので、地域のハザードマップなども参考にして検討してみてください。
合併後の組織体制・役割分担を見直しする際の留意点は何ですか。
一番悪いケースは合併したと同時に合併前の代理店事務所をそのまま存続させて支店とすることです。双方社員の人事の交流の阻害要因ともなり、合併効果は出ません。合併によって効率的な営業・事務体制を構築するためには、契約者マッピングによりエリアの中核マーケットと開拓マーケットを分析することが必要です。
■財務・代手・経費
自社は黒字決算を続けていますが先方の決算状況は不明です。確認のポイントは?
理想形は双方が黒字経営を継続的に行えていることです。経営の黒字は内部留保という形で見えてきますが。その金額がどのよう保有されているのかは会社の決算3表(B/S・P/L・キャッシュフロー計算書)て確認できます。また、売り上げ(手数料)に対する人件費の割合や適切な社会保険加入コストもチェックポイントです。
合併交渉時にお互いの決算書を開示する必要はありますか?
合併形態にもよりますが、お互いの経営内容を理解し合うためには必要です。なお、法的合併を選択する場合には、決算情報の共有は必須です。また、決算書以外(簿外)の実態の共有も必要となります。
決算書ではどのような点に留意すれば良いですか?
決算書は3期程度共有し、B/Sでは、債務の状況を確認します。
P/Lでは、人件費や交際費の状況を確認します。3期分を比較することで、収入の状況や人件費や物件費の傾向を分析することができます。
決算書以外で注意しておくべきことはありますか?
合併して存続会社が債権債務を継承する場合、「退職金債務」や「未払い残業」は財務に大きな影響を与えます。これは、被存続会社が十分な退職金ファンドを用意していないことや、労務管理が杜撰であることが要因です。この部分は、決算書からは推測しにくいため、個別に確認することをお勧めします。
合併による財務面のデメリットはありますか?
代表的なケースは、「消費税」の取扱いです。
年間売上(手数料収入等)が5,000万円以下の場合、保険代理店事業者は「簡易課税」を選択することが出来、この場合の課税率は50%です。したがって、大まかに言えば、消費税の50%は会社の収入となります。合併により規模が大きくなると「簡易課税」を利用することができなくなるため、この部分のメリットはなくなります。
代手ポイントはどうなりますか。
所属する保険会社の基準がありますのでご確認ください。一般的には規模と品質で手数料ポイントが決定されますが、合併時においては双方の高い手数料ポイントが次回決定までは暫定的に適用されるケースが多いと思います。課題は合併後の品質向上の取組です。
会社経費や会社支給物(車両、携帯など)の相違などどのように統一すればよいですか。
会社経費は一般管理費の項目となりますので、合併後の収支予測から改めて見直すことが必要です。営業車両の台数調整やリース切り替えなど、コストの見直しをしないと合併によるコスト増加に繋がります。携帯も貸与か持ち込みかなど、BCP対応や個人情報管理の視点からの検討が必要です。
相手側の決算状況は確認したほうがよいですか。想定していない損失、借入などあった場合どうすればよいですか?
合併においては財務状況の確認は重要事項です。できれば三期分の決算書を双方交換し、後日の金銭的なトラブルを避けなくてはいけません。直近年度分だけですと赤字の発生原因や借入金の増減などもつかめなくなります。借入については目的と返済計画の確認が必要です。
店主貸しの解消方法はありますか?
店主が自社に貸出しをしているケース(店主貸し)は合併前の解消が重要ですが、解消するには返済資金を確保するための黒字決算が必要です。または店主の役員報酬の一部を減額をし、減額分を借入金返済とすることも考えられますが、具体的な対応は税理士とご相談ください。
代理店合併において決算書の分析は重要と思いますが、一般的な財務指標にはどのような項目がありますか。
一般的な財務診断では「収益性」「安全性」「生産性」「成長性」の4項目です。保険代理業に置き換えると、収益性は売上高利益率、安全性は自己資本比率・流動比率、生産性は一人あたり手数料、成長性は保険料規模の数値が参考となります。
合併後に特に重視すべき財務指標はなんでしょうか?
合併後の財務シミュレーションはあくまでも目安ですので、①労働生産性②労働分配率③売上高営業利益率の3指標を点検されると良いと思われます。数値が合併前よりも合併後が良くなるかの視点で、合併前までに個社の改善目標数値を設定することも重要なことです。
最近、生産性向上といわれていますが、保険代理店において生産性の目安はどの程度に置くのが一般的でしょうか。また、どのような取り組みが効果的でしょうか?
生産性は年間手数料を役職員人数で単純に除したもので判定できますが、生産性向上の好事例代理店さんでは「企業分野に注力」「新種保険に強い」「生保販売力を強化」などで総体の手数料収益を増加させたり、内務社員の戦力化による更新対応などのフロントオフィス化に取り組んでいます。
■理念・ビジョン・FD
経営理念は当社のものを踏襲したいのですが新たに考えるべきでしょうか?
合併は双方の想いを共有することと同じです。従って、自社の経営理念を一切変更することなく相手側に押し付けることは避けるべきです。双方で検討した結果導かれたものが自社の経営理念と一緒であれば、踏襲することの価値はあります。つまり、経営理念は一度捨て去って再構築していく工程が極めて重要といえます。
顧客本位の業務運営は合併検討の中で重要と思いますが、具体的には何をすればよいですか?
すべての金融事業者には顧客本位の業務運営が求められており、保険代理店も例外ではありません。
一サービス事業者としてだけではなく、金融事業者として消費者から求められる課題を洗い出すことはFD宣言だけでなく、KPIの設定においても役立ちます。合併前には双方の各種業務指標の確認は必須となります。
■強み・弱みの分析
中小企業庁の事業承継のガイドなどを見ると、事業承継前にはSWOT分析が有効とありますが、合併においてはどのように活用できますか?
事業承継においては引き継ぐべき資産(ヒト・モノ・カネ・情報)がありますが、目に見えない資産として「自社の強み」を明確にしないと承継後の成長が望めなくなり、引き継いだ資産の消耗で終わる可能性があります。合併も同様に、自社の強みは引き継ぐべき重要な資産です。
合併協議の中で、品質面の比較はどのように行えばよいですか?
保険会社では、品質指標に関わるデータを提供しています。そのデータを共有することで、品質面の各社の実態が共有できます。品質指標は代理店手数料に大きく影響しますので、「弱い」指標については、合併前の個社で対応を進めることが必要となります。また、コンプライアンス面での過去の不祥事・不適切行為の情報やお客さまの声の内容なども共有することが必要です。
自社の「強み」を見つけるというのは、代理店であれば具体的にどのようなことでしょうか。
会社が成長してきている理由は必ずあります。自社の強みがなければ創業後からの成長曲線は描けず衰退しているはずです。その成長を支えてきた要素が『強み』です。意外と自社の強みは見えないものですが、「良いところ」ではなく「得意なもの」を洗い出してください。
合併に際しては個社の特徴がそれぞれあり、強みや得意分野もあります。特に社長の個性も違います。
お互いの強みだけを引き出した場合に何か問題はないですか。
双方の強みは合併後の強みになりますので、個社ごとに十分に引き出してください。ただし、強みはたくさんあれば良いというものではなく、その中でも特筆すべき項目を選別することが重要です。この選別においては経営者目線だけではなく、双方の社員全員で取り組んでください。
SWOT分析の弱みとは改善課題とありますが、合併前に解消する課題は個社任せにした方が良いのでしょうか。
解消する課題は内部の弱みがあるためにマーケットの機会(チャンス)を逃してしまうという分類項目です。合併直後には社内的な管理やお客さまへの対応など、目先の課題がありますので、個社の課題は出来る限り合併前に解消し、「弱みの引き継ぎ」が少なくなるようにしてください。
外部要因の機会はチャンスと捉えるとされていますが、具体的にはどういうことか教えて下さい。
機会・チャンスは様々ですが、地域での変化は主には行政の変化や産業構造の変化、人口減少などがあります。また、法律の改正や条例の制定により新たなビジネスチャンスが生まれてくる傾向があり、「コンパクトシティー」「働き方改革」「防災・減災の取り組み」「ハザードマップ活用」などが最近の変化の例です。
2社の合併によって社員数が(営業・事務社員共)増えます。
経営者だけではなく、お互いの社員同士が検討すべきテーマはありますか?
営業社員であれば、合併後においても重視すべき地域や商品分野の分析、事務社員であれば、内務事務やお客さま情報の収集状況、コンタクト履歴などが適切と考えます。大きなテーマではなくても良いので、社員の身近なテーマを取り上げて実践し慣れてください。
課題が発見された後に、合併代理店同士で共通認識は必要と思いますが、合併専用の改善対策シートの雛形はありますか。
代理店経営者がSWOT分析を行うための検討ガイドは準備しています。
また、代理業で考えられる項目一覧は「合併基本ガイド」に掲載していますが、別途データでの雛形とブランク用紙の提供も可能です。
※代理店経営サポートデスクにご連絡下さい。
 <サポート窓口>
  電  話:03-6268-0788(毎週水曜日・木曜日10時~16時)
  Eメール:agsupport@nihondaikyo.or.jp (随時受付中)
  担  当:代理店経営サポートデスク 粕谷室長
マーケットの変化は激しいのですが、なかなかタイムリーな情報が掴めません。
代理店であればどのような情報媒体を活用したら良いでしょうか。
保険業界の専門誌は「保険毎日新聞」「新日本保険新聞」「インシュランス」などがあり、業界に特化した情報を得ることができます。また、最近は日本経済新聞でも金融・保険関係の情報が多く掲載されています。地域の地元新聞紙の情報はいち早く変化の兆しを掴むことができます。
■合併会社の組織形態・体制整備
合併後の役員構成で注意する点はなんでしょうか?
合併の目的には代理業の存続を視野に入れているはずです。現在の経営世代だけでなく次の経営世代へとつなげていくことを「戦略的事業承継」とも言います。従って、合併時点での双方の経営陣の配置だけではなく、将来的な配置も踏まえてのマネジメント層の育成の視点も欠かすことはできません。
合併後の組織(組織図)を策定する方法はありますか?
経営ビジョンの中で、あるべき組織図を一旦作成するとイメージできます。組織図をにらみながら、各組織(ポジション)の役割を定義し、合併当初にそのポジションを担うべき役職員を具体的に決めながら、固めることができます。
合併に際して、「新社名」を考えるときに何か注意すべきことはありますか?
本社所在地が同一の場合、同じ社名は登記できません。ただし、このようなケースは希です。また、保険会社と誤認するような社名は保険会社で使用を禁止しています。なお、他社の商標登録に抵触する場合には、後日トラブルとあることもありますので留意してください、なお、同一社名については、「オンライン登記情報検索サービス」(無料)で確認することが出来ます。
内部管理体制や組織規程を再作成する際に気を付けなければならない点はどこでしょうか。
まずは、整備すべき規程と各社の実態を把握することから始めます。合併のデメリットは人員が増えることによるマネジメント要素の増加です。また、合併双方からの役員がどのような経営責任を負うのかも明確にしないと「船頭多くして・・・」になります。各種規定は机上のものではなく実際に使用するものですので、役割と権限を明確にすることが重要です。
■労務・就業規則
就業規則を現在作成していません。合併に際して作成する必要はありますか?
常時10名以上雇用している場合、就業規則の労働基準監督署への届出が必要になります。また、10名未満であっても、合併後の就業ルール等を社員に周知し、安心して働ける環境をつくるためにも作成をお勧めします。
就業規則の統一はどうすればよいですか。
社員が10名以上となるかどうかに関わらず、就業規則は会社を守るためには必要ですので、見直しするのであれば、合併後の代理店が求める人材像や働き方を決めてください。就業規則の策定は社会保険労務士の分野ですので雛形も参考にしてください。
就業規則を比較する際に特に注意すべきことはありますか?
少なくとも、「就業時間」、「休日」、および採用している労働制(例:時間管理、フレックス制、事業場外みなし等)、また「定年の有無や年齢」は、社員の働き方に大きな影響がありますので確認してください。合併会社の定年等を決めた結果、高齢の募集人をどのように位置付けるのかなどの検討も必要となります。
存続会社の定年は60歳で再雇用は65歳までです。合併相手の募集人の中には既に65歳を超えている人もいます。どうすれば良いですか?
合併に際して、就業規則を改定し、定年や再雇用年齢を変更する、あるいは、個別労働契約を締結する方法などがありますが、各々メリデメがあります。「人」に関わることのため、慎重な協議が必要です。
合併により、就業規則上、雇止め年齢を超える募集人が移籍することとなります。どのように対応すれば良いでしょうか?
本人の同意があれば、合併を機に個社で退職を選択することも選択肢のひとつです。協議により新会社に移籍する場合には、本人との個別の労働契約を締結することで雇用を継続することもできます。ただし、この場合、移籍後5年を経過すると「無期転換の権利」が発生することになるため、個別の雇用契約の更新期間については留意が必要となります。
各社で採用している人事・労働制度が異なります。どのように対応すれば良いですか?
人事・労務制度にはメリデメがあります。一方、合併後、社員の労働制が人によって異なることに合理性はありません。また経営者にとって、社員の労働時間管理は重要な管理業務となります。合併後の目指す姿を明確にし、その実現に向けて最も適した労働制を検討する必要があります。
就業規則の見直しの際に、他に見直しや統一しておくことはありますか?
「賃金規程」や「退職金規程」また、就業規則で「別に定める」としている項目については「別規程」(マイカー通勤管理・マイカー業務使用・慶弔規程など)を整備する必要があります。最近では「テレワーク規程」などの整備が求められています。
法的合併ではなく、営業譲渡方式で社員も引き継ぐようなケースでは、それらの社員は新入社員扱となりますか?
合併時には、従業員の待遇なども個別に協議し、別途「合併合意書」などで定める必要があります。例えば、有給休暇のベースとなる勤務月数などがこれにあたります。
■人事(給与・退職金・その他)
給与制度が異なる場合どうすればいいですか?(固定給、歩合給、雇用関係待遇の相違)
合併主体となる代理店に給与制度があれば、この制度に準じることが可能かを検討することが必要です。その際に、新たな制度を策定する際には、社会保険労務士に制度設計を依頼をしてください。社会保険は歩合給を含めて全ての報酬が対象です。
当社は固定給ですが相手側は固定給ベースの歩合給です。給与体系の統合は可能ですか?
制度をいずれかに片寄しない場合には、合併会社として新たな制度を構築することになります。制度の統合ではなく、合併会社の理念・ビジョンを達成するために、必要となる給与体系を構築します。なお、改正業法や顧客本位の業務運営の観点で言えば、過度の歩合給制度はお勧めしません。
給与制度が異なる場合、どのように対応したらよいですか?
原則、人事制度は合併会社では統一する必要があります。
方法としては、❶存続会社の制度に片寄せする、❷存続会社の制度を改定する、❸合併会社用に新しい制度を創設する、の3パターンとなります。いずれにしても、第1に存続会社の制度の共有と課題を明確にし、第2に社員個々人がその体系に当てはまるのか、第3に経過措置をどのように設定するかなどの手順を踏む必要があります。
給与制度の検討を始める前に確認しておくべきことはありますか?
検討を始める際に、各社の就業時間や休日、また会社からの貸与物などを確認する必要があります。同じ基本給でも就業規則や休日が異なれば、実際の時間単価は違いますし、営業に係る経費やPC・携帯などを貸与の有無の差も、処遇を比較するためには必要となります。
被合併代理店の人件費が高いため、合併会社では、給与ダウンとなります。問題等ありますか?
合併形態によります。営業権譲渡の場合、一旦、被合併会社を退職し、合併会社に入社するケースが多く、この場合であれば、給与も新条件となりますが、合併会社が今後も発展していくためには、社員のモチベーション低下や退職を防ぐためにも、急激な給与ダウンとならないような「経過措置」を設定することをお勧めします。
合併による従業員の不利益変更を回避するにはどのような方法がありますか。
合併の際は、すべての従業員を前勤務条件で引き継ぐことが求められてはいません。
合併により雇用はいったん解除となり、新たな雇用契約を締結することになります。新給与基準は生活維持の観点と合併後の収支をにらみながら調整が必要です。
労務、雇用形態が異なる場合、特に被吸収代理店については従業員の反発が予想されるのですが、どうすればよいですか?
合併においては吸収する側もされる側も従業員は経営陣が何を考えているのかの不信感を持ちかねません。吸収される側は不安も大きくなるので、現状の賃金・評価体系をしっかりと説明し、改定すべき点があれば検討する工程は必要です。
時間外労働、管理職手当などの規定や実態をどのように統一すればいいですか。
就業規則の統一の際には、時間外労働について事前に一定期間の勤務実態を確認することが必要です。時間外労働は管理職の指示と承認のもとで行われているのか、社員ごとの独自の基準なのかを合併を機に確認し、適正化してください。各種手当は公平で公正がキーです。
合併協議各社で退職金の有無に差があります。どのような点に留意が必要ですか?
存続会社に退職金制度があり、被存続会社に退職金が無い場合、あるいはその逆の場合で留意すべき点は異なります。
前者の場合、合併後に新たに入社する社員への退職金積立が必要となります。また後者では、法定合併以外の場合、合併時に一旦退職金を支給するなどの対応が必要になります。
合併を機に、独立あるいは他代理店に移籍を希望する社員への対応はどうしたらよいですか?
無用なトラブルを避けるためには無条件で認めることも選択肢のひとつですが、そもそも契約の帰属(のれん)は代理店であることから、「競業避止」を適用し、1年程度、同業の開業や移籍を禁止することも選択肢の一つです。いずれにしても、お客さまの情報を「持ち出す」ことは禁止されているため、移籍する場合には、お客さまからの個人情報の利用に関する承諾(オプトアウト)の手続きは必要となります。
高齢募集人の一部は合併会社のメンバー構想から外れていますが、どうしたらよいですか?
高齢かどうかは別として、継続的に雇用がされないのであれば合併前の代理店における就業規則や退職金規定に沿った金銭的な支払いが発生するはずです。前社において退職金規定がない場合には、「功労金」という形で対応することも可能です。
■デジタル・システム
各社で導入しているシステムが異なる場合の対応方法はありますか?
グループウェアであれば、グループウェアの利用状況(実態)を確認し、合併後での利用目的を明確にし、基本的に「片寄せします」。片寄せする場合には、データの移行や、IDの新規取得など時間と手間がかかるため、協議は早めに行うようにしてください。
システム対応上、合併前に個社で対応すべきことにはどのようなものがありますか?
所属会社のシステムにもよりますが、個社での契約・顧客情報の整備はしておくことが必要です。(二重登録など)
各社ともにHPを持っていますが、あまり活用されていません。どのように対応すればいいですか?
HPは何のために作成し活用しているのかの原点に立ち戻ってください。過去であれば保険会社の評価制度のためであったり、地図として自社を認知してもらえれば十分かもしれませんが、現在は「自社の価値を社外に認知してもらう」ことが活用のポイントですので、その目的に相応しいコンテンツの採用をコスト見合いで採用検討してください。
各社で営業担当へのPCや携帯の貸与の有無で差があります。どのように対応すべきででしょうか?
体制整備上、個人情報管理の高度化は必須です。合併を機に、営業の際の個人所有のPCや携帯の使用は極力控え、会社ルールに基づく会社貸与とすることをお勧めします。また、会社貸与のPCはデータレス機能、また携帯では遠隔操作でデータ消去できる機能を装備することをお勧めします。
■営業体制/内務体制
営業体制を検討する場合、比較・検討項目にはどのようなものがありますか?
営業体制で比較・検討する主な項目は、①役割・担当 ②募集プロセス ③情報共有方法 ④接点強化 ⑤営業成績管理 ⑥行動管理の6項目です。
営業スタイルはどのように統一するのでしょうか。
営業と事務の平準化は持続成長する代理店においては共通の課題です。営業であれば顧客のセグメント化(層別対応)は必要で、主要顧客対応と一般顧客対応の違いや事務所からの距離も営業スタイルを決める上での要素です。属性管理から組織管理への転換が必要です。
営業時、お客さま対応に関してどの点に留意して比較検討する必要がありますか?
特に大口契約者への対応方法は比較検討する必要があります。中元歳暮や営業協力また接待、その他場合によっては、無理な対応を強いる契約者もいます。比較検討することで、合併会社での大口契約者への対応方法も統一を図ることが必要です。
内務事務に関して、合併時(特に、支店展開する場合)に必ず決めておかなければならないことはありますか?
合併時の事務に関する事故を防止するためには、少なくとも、次のルールは統一することを心掛けてください。
①保険料預入の事業用口座の管理と入金ルール、②保険料領収証発行・管理ルール、③申込書の工程管理ルール、④保険料精算対応ルール、⑤個人データ管理台帳の一元管理ルール
①~④のルールが無い場合、事務不備による精算遅延及び申込書不備多発となり、混乱に拍車が掛かります。従って合併開始時にはルールが徹底されている必要があります。
⑤の管理ルールを統一しない場合、個人情報漏えい事故が発生するリスクが増大します。いずれも合併3週間前には、ルールの可視化、見える化が必要です。マネジメント層より、事務方リーダーに命じ、各拠点1名の事務主任者を集めての協議と確認が必要となります。
内務体制はどのように統一を図ればよいですか?
これからの代理店業務では、内務体制の高度化は必要不可欠です。内務事務の各段階(例:満期案内、見積書作成、計上、顧客管理等)について、各社の実態を比較し、合併会社スタート時点での役割や方法を決定します。なお、主体となる代理店のプロセスに一旦統一し、合併後により高い水準で「内務体制のあり方」を検討することが現実的です。
内務体制を検討する場合、比較・検討項目にはどのようなものがありますか?
主な比較・検討項目は次のような項目があります。

・満期更新管理・入金・精算管理・契約保全(異動・解約)管理

・苦情・お客さまの声対応・事故対応・ファイリング→保管(紙/データ)・保管単位(お客さま名順/満期順)・出納関係・郵便・宅配便

・成績管理・電話応対・来店対応

■社員への対応/地域への対応
合併することをどのタイミングで従業員に伝えればいいでしょうか?
合併はまずは経営者同士での合意形成が必要で、合併基本合意書を交わすと秘密保持条項がありますので、安易に外部や社員に知らせることは得策ではありません。社員の処遇について方向性が決まり、不安がない段階が適切と考えます。合併契約書の前が目安となります。
合併に反対する営業社員が独立することになった時、契約はどうなりますか?
契約は一般的には代理店に帰属しますが、営業社員に契約が付いている属人的なケースの場合には離脱後の契約の流出リスクも発生します。契約を買取りする、契約は無償で本人に渡す、有償で譲渡するなど十分な検討と対策が必要です。
合併に際して社員間の融和をはかるため、人事面ではどのような対応が必要ですか?
合併によって双方の役員が何を目指しているのか?個々の社員の働き甲斐を見える化することなどが必要です。給与体系も双方の歴史と財務状況から違いはあるので、どのような労務体制を整えるのか、人事の評価基準を明文化し、かつ適正運用することは必須です。
合併に際し社員間の融和をはかる有効な手立てありますか?
「特効薬」のようなものはありませんが、「情報を共有する」「ともに作り上げる」ことは有効な手段です。合併前後に、「内務体制・事務処理」の標準ルールを一緒につくる、また、「行動指針」を一緒につくることなどがこれにあたります。合併が確定した段階で、社員に情報を開示し、テーマに応じて、社員もメンバーとする協議会を立ち上げる方法も有効です。
地域に対し、合併後の体制を広く周知するために、効果的な方法はありますか。
第1に、合併会社の全役職員が合併会社の理念や事業展開の方向性を理解し、行動できる態勢にすることが肝心です。また、ステークホルダーへのアピールでは、「新会社事業計画発表会」なども有効な手段です。
また、お客さまや地域に対しては、少なくとも、ホームページのリニューアルや情報発信は必要となります。
地域に対し、合併後の新体制をアピールする効果的な方法にはどのようなものがありますか。
一般的には会社案内の再作成がありますが、コストとスピードを勘案すると自社のホームページのリニューアルが効果的と考えます。合併後のビジョンを明確にし、働く社員の顔が見え、メッセージを掲載するなど創意工夫が可能となるオリジナルHPの作成をおすすめします。
地域に対し、合併することを対外的に発表するタイミングや挨拶状の雛形はありますか?
合併日の前月にはお客さまや関係者に案内状を出状することが重要です。すべてのお客さまが対象となるので、事前に契約者リストの整備などを事務社員の力を借りて行っておくことが重要となります。ご挨拶状のひな形は各保険会社にて確認してください。
■その他課題
保険会社の認定制度を重要視しています。代理店合併に際に注意すべき点は何ですか?
各保険会社では代理店認定制度(TQ・PA・新特級など)がありますが、目指していることは高い品質を維持・向上させ続けられる仕組みの評価です。従って、合併後にも認定を維持できることは最低限必要な課題です。
あるいは、合併することにより認定の要件を短期間で充足できるか否かも合併前の重要な検討課題となります
ISOの認証を取得している場合、合併により何か影響はありますか?
合併の形態や規模によりますが、一定規模同士の合併の場合、合併会社内の管理態勢にも変化が生じるため、その変化が大きい場合、ISOの再審査等が必要となる場合もあります。いずれにしても、存続会社がISO認証を取得している場合には、早めに関係する会社や部署等に相談してください。

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