参考:保険業法と代理店の責任 保険業法283条における保険会社と代理店との関係 保険業法第283条は「保険契約者の保護に加えて、 所属保険会社の代理店に対する教育指導等の責任」を目的としています。 保険業法第283条は、「保険契約者の保護に加えて、所属保険会社の代理店に対する教育指導等の責任」を目的としています。保険会社の代理店に対する教育・指導責任とこれに対する代理店の遵守義務とが一体となって、はじめてコンプライアンスに従った正しい募集活動を繰り広げることが可能となります。 日本代協ではこの両者の「信頼関係」を基本とし、かつ最重要視すべきことと考えています。 保険募集活動を保険会社との信頼関係のもとにコンプライアンスに従って日頃行なっておられる正会員の皆様は、契約者から賠償請求される例は少なく、仮にそのようなケースがあったとしても保険会社がその賠償請求に応じてきたことと思われます。 代理店の責任 ◆ 代理店が保険募集につき保険契約者に加えた損害は、保険業法第283条で所属保険会社が責任を負うとされています。しかし、同条第2項では保険会社が代理店委託につき相当の注意をし、かつ、保険契約者に加えた損害発生の防止に努めていたにもかかわらず発生した損害については、免責とされ、さらに同条第4項において所属保険会社は代理店に対し、求償権を行使できるとされています。 ◆ この法283条は、民法715条の「使用者責任の規定の特則」であり、主旨は保険募集を行った際に損害保険募集人、または生命保険募集人に生じた私法上の責任について、その所属保険会社が負うこととするものであり、また同法の目的は、保険契約者の保護と所属保険会社の募集主体に対する教育指導の責任です。 ◆ 代理店が保険契約者に対し、損害賠償を負担しなければならない事例として、「信義則上の責任」(民法第1条)を問われた裁判例があります。これは、本来は保険契約者の自己責任に属する事項(保険の申込、保険料の支払義務等)ですが、信義則上は「代理店は契約者に対する援助義務がある」とされたものです。 <保険業法第283条(所属保険会社の賠償責任)(抜粋)> 保険業法より抜粋 (所属保険会社等及び保険募集再委託者の賠償責任) 第283条 所属保険会社等は、保険募集人が保険募集について保険契約者に加えた損害を賠償する責任を負う。 2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。 (中略) 三 所属保険会社等の委託に基づく特定保険募集人又はその役員若しくは使用人である保険募集人が行う保険募集については、所属保険会社等が当該特定保険募集人の委託をするについて相当の注意をし、かつ、これらの者の行う保険募集につき保険契約者に加えた損害の発生の防止に努めたとき。 (中略) 4 第一項の規定は所属保険会社等から保険募集人に対する求償権の行使を妨げず、また、前項の規定は保険募集再委託者から保険募集再受託者等に対する求償権の行使を妨げない。 保険会社向けの総合的な監督指針等の改正により、保険販売に際して、顧客のニーズ確認をより厳密に実施することが求められています。 保険業法第283条各要件の一般的解釈 ①「保険募集」は、募集自体に限定されず、保険募集と密接な関係にある行為を含みます。 例えば媒介を行なう代理店が受領権のない保険料を受領するなど。 ②「保険契約者」には、有効な契約の締結をした契約者のほか、代理店の言動により判断を誤り無効な保険契約を締結した者も含まれます。 ③ 契約者が代理店の媒介行為における故意・過失により損害を被ったが、結局契約の締結に至らなかった場合も「保険契約者」として保護すべき場合がありうるとさています。 過去の裁判例で代理店の賠償責任(詳細はQ&Aに掲載) 代理商たる保険代理店(商法第46条)は独立の商人(商法第502条第9号)として民法第1条第2項 信義誠実の原則に基づき独立の責任を有するとされ、保険契約者の信頼を裏切らないよう行動する「信義則」上の責任を負っているとされたものです。 1)東京地裁 平成6年3月11日判決 2)松山地裁 平成8年8月22日判決 3)前橋地裁 平成8年9月5日判決 保険会社の求償権行使(保険業法第283条第4項) 保険会社は、保険業法第283条と委託契約書に基づき求償権を行使することが可能であると考えられます。 具体的な委託契約書上の違反行為とは以下のようなケースが考えられます。 -法令遵守義務(保険業法、重要事項の説明) -保険募集に関する文書等 -守秘義務 -損害についての意見表明の禁止 本項は参考資料であり、「日本代協新プラン」で免責となる事例もあることをご承知おきください。