漁船保険制度の概要(参考情報)

2011.04.07  9:00

 4月5日、読売新聞等マスコミ各紙で報道された「漁船保険」に関して、いくつかお問い合わせを頂いているので、その概要をご案内します。
 基本は、法律に基づき組合が保険を引き受ける国の制度であり、保険金支払いは最終的に国が補完する仕組みとなっています。

1.漁船保険制度とは?
漁船保険は、漁船の海上危険による損害をてん補するための損害保険制度です。不慮の事故や自然災害等による損害(津波による損害も補償されます)、漁船の運航に伴う費用の負担、あるいは賠償責任等の発生によって漁業経営が困難になることを防止し、漁業経営の安定化を図るため、昭和52年に制定された「漁船損害等補償法」に基づいて運営されています。
同法に基づき設立された「漁船保険組合」が保険を引き受け(保険会社の役割)、漁船保険中央会を経由して政府(窓口は水産庁)との間で再保険を交わしています。再保険料率は、純保険料のみとなっており、付加保険料は全額国庫負担となっています。
漁船保険組合には、特定の漁業だけに従事する漁船だけを対象にする「業態組合」と都道府県を区域とする「地域組合」とがあり、各組合は、保険契約の締結、掛金の徴収、保険金の支払いを行っています。
制度の中核となる漁船保険には、「普通保険」と戦争・変乱およびこれに準ずる事故による損害を填補する「特殊保険」の2種類があります。「普通保険」には普通海上事故によって生ずる損害を填補する「普通損害保険」と、普通損害保険と代船建造資金の積立てを兼ねて、満期時に保険金を支払う「満期保険」とがあり、総トン数1千トン未満の漁船を対象としています。(1トン未満の漁船は任意加入)
なお、漁船保険については、加入区毎に1トン以上の指定漁船が全船加入することによって、国からの掛金補助があり、船主個人の掛金負担が軽減される仕組みになっています。
また、「船舶の所有者等の責任の制限に関する法律」(船主責任制限法)では、船舶による海難事故の際、被害者が十分な補償を受けられるよう、船主の責任制限金額について、2千トン以下の漁船については、対物100万SDR(1億8千万円)、対物3百万SDR(5憶4千万円)と定められています。
(*SDRとは「IMF特別引出権」のことで、金・ドルに続く第3の世界貨幣と言われています。レートは毎日変動しますが、上記時点では1SDR=180円となっています。)

2.今回の震災の影響は?
今回の震災では東北地方の多くの漁船が壊滅的な被害を受けたため、漁船保険制度の国の準備金が大幅に不足する見通しです。制度を運営する漁船保険組合の支払い能力を超える部分は、国の準備金で賄う仕組みであり、政府が一般会計から数百億円規模の追加支出を迫られることになる見込みです。
水産庁によると、漁船保険には国内漁船のほとんどが加入しており、津波の被害が大きかった北海道から千葉県までの太平洋沿岸7道県で、加入数合計は5万隻を超える模様ですが、保険金の支払い対象は、壊滅的被害を受けた岩手、宮城両県を中心に2万隻前後に達する見通しとなっています。
その結果、保険金の支払額は1千億円規模に達するとの見方が出ています。各保険組合の支払い能力は平均で十数億円、再保険を引き受けている中央機関の準備金は70億円程度の模様であり、これでは全く資力を確保できないため、国が支払いに備えた準備金(一般会計からの支出)で対応する方針のようです。

  ☆漁船保険制度について・漁船保険の種類について
     >>  北海道ホームページ 「漁船保険」
     >>  岩手県ホームページ 「漁船保険制度について」